1 はじめに

契約書文化が普及している欧米各国では、遺言書を作成する人の割合がおよそ70%程度といわれていますが、日本では僅か10%程度です。その理由はいくつか考えられますが、最も多いのが「遺言書を書くほどの資産がないから」と言うことだそうです。

これは一見もっとものようではあります。しかしながら、遺言書がないため相続人同士が揉めるケースの75%が資産5,000万円以下の家庭。資産1,000万円以下のケースでも約30%の家庭がトラブルを抱えるそうです。「遺言書があるだけで円満に解決するケースが無数にある」といっても過言ではありません。

それでは具体的にどのような遺言書を作成すれば良いのでしょうか?

 

2 公正証書遺言

公正証書遺言とは、法務大臣から任命された公証人が依頼に基づいて作成する遺言であり「内容の証拠力が高い」というメリットがあります。従いまして、後日、遺言の内容に疑義が生じたとしても、その効力を覆すことは非常に困難です。

ただし、「2人の証人が必要となる」「費用と時間がかかる」というデメリットが通常指摘されています。しかし、この点につきましては、後々の事を考えるとデメリットとは言えないのではないでしょうか?

作成後20年間公証役場で保管される公正証書遺言は、紛失の心配がないほか、自分自身で自書する必要もなく、家庭裁判所での「検認」手続も不要です。有効で確実な遺言をお考えの方に推奨いたします。

なお、当事務所では、遺言内容の文案作成、立会証人の手配、公証人との事前打ち合わせ、当日の公証役場への同行等すべての場面においてサポートいたします。 お気軽にご相談ください。

 

2 自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、財産目録を除く全文を自筆で記載する形式の遺言のことをいいます。具体的には、遺言の本文、日付、氏名を遺言者自らが署名し、かつ押印しなければなりません。

なお、遺言の内容を加筆、訂正する場合には遺言書でその場所を指示し、これを変更した旨を記載します。その際自筆で署名し、その変更の場所への押印が必要となります。

このように自分1人で作成できる「自筆証書遺言」は公正証書遺言とは異なり「費用と時間がかからない」というメリットがあります。しかし、他者の関与がなく作成されるだけに結果的に無効な遺言となってしまうケースも少なくありません。

当事務所では自筆証書遺言が無効とならないよう法的な観点からアドバイスし内容的に過不足がないようサポートいたします。

なお、2020年7月8日より「自筆証書遺言書保管制度」の運用が開始されました。これにより自筆証書遺言の管轄法務局での保管が可能となり、その後の検認手続も不要となっています。